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因業になりたくなくば毒蝮


毒蝮三太夫さんの取材撮影を担当しました。

AMラジオの平日午前のワンコーナー、街場からの公開生放送「毒蝮三太夫のミュージックプレゼント」が四十八年目。

ノイズのない心の周波数。まっすぐ届く。

心地がよい社交心。挨拶がわりに他愛ない会話のキャッチボール。自らの気配りすら笑い飛ばす気配り。話の寸法、テンポ、本筋に忘れず戻ってくる脱線、無理筋に決め込まない落ち、自然体、器がでかい。聞く耳、質問へのレスポンスの速さ、引き出しから答えを取り出す奥行、蘊蓄よりもエピソードを踏まえた考え方の披見。毒づくでない、説教でない、押し付けるでない、媚びるでない、否定もしない、受け売りでない、芸風を押し出すでもない。心底、人対人で、会話を楽しむ力。にじみ出るコミュニケーションを楽しむ「態」。

年齢を感じさせない現役感。

だが灰汁は強くない。「威」なところ、居丈高なところはまったくない。目の前の人への興味を失わない、その「態」がいい。

俺という一人称がこんなに朗らかに似合う男、いるだろうか。虚勢のない素直な「俺」。とにかくほがらか。

マムちゃんの破顔は、ご利益だ。キメはウルトラマンの隊員なのに怪獣ゼットンのような愛らしさ。一方でこのあと撮影最後に魅せた硬派なキメ顔。ぐっとくる眼光。八十四歳の「ジジイ」には見えない男の色気があった。

男の懐刀を垣間見た瞬間。

ここ数年で一番かっこいい大人の「顔」に出会いました。「おとなの流儀」(KKベスト)最新号。

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