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第75回東日本新人王決定戦 2018.11.4.後楽園ホール

新人王決定戦は長丁場。

14時に開始して20時半まで、軽量級から次々と全階級の新人王を決めていく。

ボクシングは1階級上がっていくことにリング上で求められるスピード、テクニック、パワー、スタミナ、メンタル、五要素の相関関係が変わってくる。それが見事に分かる日でもある。

全階級で変わらぬ必須の絶対値、それはメンタル。ただ、メンタルだけではどうにもならない。それもボクシング。

全12階級、24人の戦いを見届ける。勝者は西日本新人王と全日本新人王をかけて戦う。今年は、全日本新人王決定戦は後楽園ホールでなく西の会場へ。

満席の後楽園ホール。新人王決定戦には得も言えぬ独自の良さがある。新人がトーナメントを勝ち抜いてくる。ボルテージは最高。応援と熱気が交差するホール、視線が一点に注がれるリング。一瞬を見逃すな、選手も然り、観客も然り。一瞬間こそボクシングの醍醐味。

①ミニマム級、岡田真虎(赤・JB SPORTS、24歳)vs柴沼智樹(青・KG大和。31歳)

終始、至近戦の打ち合い。額をくっつけた根競べが続いた。

軽量級、サウスポー対決にしてはスピード感を感じさせない、打ち合いが主眼の試合。

ジャッジ。48-48ドロー、48-47青。判定2-0で柴沼の勝利。

私の採点は49-46で岡田。

②ライトフライ級、亀山大輝(赤・ワタナベ、22歳、サウスポー)vs荒川勇太(青・SRS、25歳)

亀山がすべてのラウンドで勝った。多彩に打つこむ。攻撃の手を最後まで休めなかった。河野、SRSの「不動心」イズムで最後までよく戦う。

ジャッジ。39-36×3。亀山が3-0判定勝利。

私の採点は40-35で亀山。

③フライ級、太田憲人(赤、ワタナベ、29歳、サウスポー)vs荒川竜平(青、中野サイトウ、29歳、サウスポー)

サウスポー、同年齢対決。太田はこれまで4戦4勝(1KO)。戦績からして怖いものなしのはずが、緊張しているように見えた。硬直したところにもらうパンチは効く。1回、2回、ダウンを奪われ、3回も。荒川の気迫ののったボクシングにペースを完全に奪われていた。太田は何とはなしに応援したくなる佇まいを持っていた。

荒川、3回KO勝利。

④スーパーフライ級、若木忍(赤・北海道畠山、32歳)vs碇瑠偉(青、厚木ワタナベ、19歳)

プロ加盟して間もない北海道畠山、鍛え上げた肉体の若木、32歳の新人、だがスタミナは十分、パワーで碇を初回から真っ向勝負で押し切る。碇、19歳、身体は若木に比べ、仕上がってはいない。が、メンタルが強い。芯の強さが伝わる。真正面から迎え撃つ。ただ、若木のスタイルに合わせてしまったか、本来のボクシングができたのか、わからない。6戦4勝2分の碇、初黒星。北海道からジムあげて上京した若木の気合が勝った。

ジャッジ。若木40-36碇×3。若木3-0判定勝利。

私の採点も若木40-36碇。

⑤バンダム級、ビバリー塚田(赤・ワタナベ、30歳、サウスポー)vs石川春樹(青・RK蒲田、19歳)

30代vs10代の新人対決が続く。サウスポーでファイター、前へ前へ出る塚田。突進型も変則スタイル、細かいダッキング、ウィービング、ジャブで執拗に攻める。石川は終始、やりにくそう、防戦一方に見えた。それが3回まで続く構図。しかし最終4回、石川、塚田からダウンを奪う。だが一発ダウンを食らった後も塚田は前へ出る。

私の採点は塚田38-石川36。

ジャッジ。38-38ドロー。石川39-塚田36。2-0で石川、判定勝利。

石川はこの試合の前まで5戦5勝5KO。一緒に観戦した同志が一言。「下駄を履かせられたな」。異議なし。

⑥スーパーバンダム級、三尾谷昴希(赤・帝拳、21歳、サウスポー)vs小川将太(青・UNITED、21歳)

三尾谷、足を使った攻撃、リーチを活かし、伸びのあるパンチを小川に打ち込む。リーチで負ける小川。三尾谷の懐に入って至近戦を挑む。1回、三尾谷、小川の攻撃に苦慮するも2回以降は、スタミナ負けせず、足を使って自分の距離で戦った。ギリギリの攻防、最後までわからない戦いだった。

ジャッジ。小川39-三尾谷37。三尾谷39-小川37。スプリット。最後、三尾谷39-小川38。2-0判定、勝者、三尾谷。

私の採点は三尾谷39-小川37。

⑦フェザー級、峯田光(赤・帝拳、22歳)vs中村由樹(青・輪島功一スポーツ、20歳)

注目のカード。中村はジムの先輩・勅使河原弘晶選手に憧れているという。気合がみなぎり華々しい登場。一方、峯田は落ち着いた様子、不動の登場。鐘が鳴る。中村、ノーガードで峯田を挑発する。相当ディフェンス力に自信があるのか、または挑発しペースを握るためか、または大舞台での自らの緊張を解くためか、いつもこのスタイルなのか、ノーガードはなにあっても駄目、私の考えだ。微動だにせず中村を見据える峯田、勝負は一瞬だった。出合い頭、脇の締まったワンツー。次の瞬間、中村はリングに倒れていた。

峯田、1回KO勝利。大会MVP。文句なし。

我が尊敬の輪島功一。中村のセコンドに姿をみせる。

⑧スーパーフェザー級、鯉渕健(赤・横浜光、22歳)vs関島優作(青・KG大和、21歳)

鯉渕は5戦4勝3KO1敗、関島は7戦6勝4KO1敗。KO率が多い同士。両者の気持ちの強さがぶつかった試合だった。序盤は鯉渕が勝ったか。3回から関島が持ち直し拮抗。最終5回、鯉渕のスタミナが切れはじめたか、顔をしかめる。だが手は休めず打ち合いは最後まで続いた。

ジャッジ。関島48-鯉渕47。

私の採点は鯉渕48-関島47。

どちらに転んでもおかしくない戦いだった。

⑨ライト級、山本祥吾(赤・ワタナベ、26歳)vs橘ジョージ(青・協栄、23歳)

橘の荒々しい闘志、山本、力に押され、序盤1回、2回にダウンを奪われる。3回、4回は山本、反撃に出る。リング支配権を奪った。だが最終5回、スタミナが切れるかと思った橘だが山本からダウンを奪う。

5回1分38秒。橘TKO勝利。

⑩スーパーライト級、遠藤健太(赤・帝拳、34歳、サウスポー)vs星大翔(青・角海老宝石、20歳)

14歳差の新人対決・スーパーライト級は予選トーナメントがなかった。人口減少か、両者が強者で避けられたのか。試合が始まると熾烈なファイトが繰り広げられた。お互い一歩も譲らない。1回は遠藤、2回は星、3回、4回は遠藤か。

私の採点は遠藤39ー星37。

ジャッジ。三者三様ドロー。

遠藤38-星38。

遠藤39-星38。

星39-遠藤37。

観方が難しい戦いだった。まさしく接戦がジャッジに現れた試合。公式記録はドロー。優勢点で遠藤が全日本新人王決定戦へ進出。

⑪ウェルター級、辻本純兵(赤・帝拳、24歳)vs西川宏次郎(青・八王子中屋、30歳)

これまで4戦4勝1KOの西川であったが、辻本の距離で試合は運んだ。リーチのある辻本は優位な位置取りを実践。2回に勝負は決まった。

2回14秒、辻本TKO勝利。

⑫ミドル級、ワチュク・ナァツ(赤・マーベラス、21歳)vs石田智裕(青・協栄、22歳)

両者は再戦。前回はドロー。勝負をつけるにふさわしい舞台。ワチュクは熊野ジムの同志・歌津選手が二年前のスパー大会にて、プロテスト前に対戦した相手。その際と変わらぬラフプレー寸前の闘志あふれるスタイル。石田はその荒々しさ、懐に潜り込んでくるプレーに終始やりにくそう。打ち合いというより、要所要所で押し相撲のようなクリンチ合戦。石田は最後までボクシングをさせてもらえず、ワチュクのペースを崩すことができなかった。

ジャッジ。

ワチュク39-石田36。

ワチュク39-石田35×2。

私の採点はワチュク39-35。

興奮冷めやらぬ火照り、表彰式を眺めつつ冷ます。

MVP フェザー級・峯田光(帝拳)

敢闘賞 ライト級・橘ジョージ(協栄)

技能賞 フライ級・荒川竜平(中野サイトウ)

以上。

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