満干の潮、朝な夕な淡き宮島。檸檬、蜜柑の段々畑、安芸灘を越え穏やかな内海、江戸廻船の港町へ。
安芸の宮島。 夕刻前、フェリーに乗船。こんもりと若葉の出ずる新緑の原始林、山岳の濃緑、碧色の海、近づくと徐々に一点の朱赤が浮き立つ。 厳島神社。 島に着く。 逆光に煌めく海面。大鳥居の延長線上に内海が輝き出した。 防波堤、異国人が憩う。...
天海鈍青。時折り鴎鳴く大間埼、津軽海峡冬景色。
八戸駅から二時間、在来線ワンマン車を乗り継ぐとそこは雪國であった。 下北駅。夜七時を過ぎていた。 ちあきなおみの「夜へ急ぐ人」が浮かぶ。さながら北へ急ぐ人。 降り際に4人掛けの対面座席、両足を座面にあげて足を伸ばし、両手でさすっている初老の女性と目があった。母が浮かぶ。向か...
第44回 古今亭菊之丞,文菊,柳亭こみちの根多おろし 「菊之丞の星野屋、文菊の百年目」本所はなし亭
第44回本所はなし亭。 古今亭菊之丞、文菊、柳亭こみちの根多おろしの会。勉強会。 菊之丞は放映が始まったNHK大河ドラマ「いだてん」の古今亭志ん生の落語指導、監修を行っている。私は菊之丞で落語の世界に入った。この五年、菊之丞に育てて頂いている。昨年まで毎月開かれた船橋・大念...
射干
射干(しゃが)の花が実家の庭先に咲く。 仏前に供える。 私はこのアヤメ科の白紫の花が好きだ。 花びらの輪郭が蝶のようで、花弁に濃い紫と橙の模様が浮き立ち、曼陀羅の世界のようにも感じる。 霞が関の官庁で仕事があった。 日比谷公園の地下駐車場に車を停め、噴水広場を抜けて松本楼の...
祝い酒
その姿に励まされた。 ケンスケが高校を卒業、地方の大学へ。 そしてキシ君が大学院、プロボクサー千葉さんに子が誕生。 京成金町駅、小さな踏切を渡ると栄通り、年季の入ったもつ焼き屋、奥の小上がりで四人、祝う。 ケンスケは高校で廃部状態であったボクシング部を一人で復興、昨春、高校...
小田原の緑、大磯の青。
二月初旬、日帰り取材で箱根、小田原、大磯の歴史的建造物を巡った。 近代建築の洋館、点在する歴史の「白」を訪ねる。白の主題であったが、現地ではまた異なる色が待っていた。 ビードロ玉の如き艶やかなスペイン瓦葺きの屋根。青にも緑にもみえる釉薬。まるで人魚の衣。スペイン様式で造られ...
高3クラスTシャツ
母親が着て、父親が着て、私に戻る。 カッコよく見え、返してもらう。 家族が使い続けて生き長らえる部活Tシャツ、学校ジャージ。これは庶民の家庭内で連面と続く民俗学的に肯定されるべき継承と言ってよい。昭和の新民俗学。仮説として源流はもんぺにあるだろう。...
抜き差しならぬ紙入れー長襦袢に雛人形みずほ寄席.古今亭菊乃丞独演会.2018.2.10
西多摩、瑞穂町の郷土資料館。 みずほ寄席。 今回は特別番組。実家の隣町、席亭さんに案内の電話を頂き、父母を連れて足を運ぶ。 樹齢三百年、けやきの大木の下に建つ。かつて日本狼がこの地にいたという。遠吠えの銅像が大木を守る。通称「けやき館」。地名は駒形富士山。狭山丘陵の西端に位...
蛇の目の円と口吸い酒
練習終わりに四人連れ、金町栄通りのおでん屋。 お互い、縄跳びも跳べなった初心者からかれこれ4年。深夜22時、進化を見届けあう同世代のジムメイト。 「帰省は徳島でしたっけ」 「ちゃうちゃう、香川」 「あ、地味にある地理あるある。島根、鳥取みたいな関係。おれの実家の武蔵村山は東...
プラズマボールとガラス固化体
北の丸の科学技術館。 プラズマボールに遭遇した。 ガラス球体のなかで電離した気体が放電し、雷電のごとき電子が妖しく美しくうごめく。 手を触れると電子のうごめきが手のひらに集まってくる。 固体、液体、気体、そしてプラズマ。...