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プラズマボールとガラス固化体



北の丸の科学技術館。


プラズマボールに遭遇した。


ガラス球体のなかで電離した気体が放電し、雷電のごとき電子が妖しく美しくうごめく。

手を触れると電子のうごめきが手のひらに集まってくる。



固体、液体、気体、そしてプラズマ。

宇宙を構成する質量の99パーセントはこのプラズマだという。





電気のゴミの処分についての3Dアニメーションの上映が始まるとスタッフが呼び込むので、上映ホールに飛び込んでみた。


原子力発電の核燃料棒の最終処分について。地層処分の啓蒙であった。

地下300メートル、人工バリア(ガラス固化体とコンクリート)で固めた核燃料棒を自然バリア(地層)で固めるという。掘る場所を間違えなければ地震、火山にも対応でき安全とのことであった。名探偵コナンのような男の子と女の子が地層に探検したり、未来の地層処分所へタイムスリップして学んでいく。


上映後、会話をした。

私「そんなにうまくいくかな。福島の原発施設だって絶対に安全だといっていたのに大震災で悲惨なことになったからなあ」

少年「大丈夫だよ。施設を作るのに100年時間があるんだよ。100年もあれば化学技術が進歩しているよ」

「90万年も消えない毒を抱えているってこわいけどなあ。生み出してしまったものは仕方ないけど、太陽光やバイオマスや風力、自然エネルギーで発電がまかなえるなら、これ以上は必要ないと思うけどなあ。そちらを研究するのも有りだと思うけどな」


少し困惑気味の苦笑いを浮かべていたが、違うベクトルから一言だけ投げかけておこうと思った。科学技術館は電力会社が主体のアミューズメント施設だ。



同じフロアで、フレミングの左手の法則を解説する体験ゲームが置かれていた。

親指が力の向き、人差し指が磁界の向き、中指が電流の向き。


人間の知恵の向きに法則はない。


プラズマは宇宙空間で自由に放電しているらしいが、人間は地層にガラス固化体を必死に埋めようとしている。


夕暮れ時の帰路、見上げた空に三日月が綺麗に浮かんでいた。

今人も昔人も、見上げるのはこの月だ。




向きについて考えた一日であった。













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