輪島功一のセコンド。花形進のロープ跨ぎ。美しき輪郭。56㎏契約8回戦・中川麦茶(角海老)対三浦仁(三迫)、拮抗したファイト、納得の三者三様ドロー。2019.5.31. 後楽園ホール、三迫一門会第68回
三迫ジム一門会の興行。
セコンドに輪島功一の姿あり。
「輪島!」
客席から声が飛ぶ。輪島、厳しい顔がほろこぶ。
花形進。プロボクシング協会会長。
現場現役のセコンド。
選手を招き入れるロープ跨ぎ、美しき輪郭
この日一番の見応え。
56㎏契約8回戦、中川麦茶(角海老・赤)対三浦仁(三迫・青)。
中川麦茶、右、30歳、24勝(14KO)6敗1分、OPBFスーパーバンタム級6位、日本スーパーバンタム級4位。
三浦仁、右、25歳、10勝(1KO)3敗1分、日本スーパーバンタム級20位。
長身、リードの長い中川、対し、懐に入っていく三浦の構図。
序盤1回から気持ちを前面に潜り込む三浦。長いリードジャブで入り込ませない中川。中川の斜に構えたスタイルは三浦にとって懐が遠く入りづらい展開。三浦がそれでも気持ちで前に行ったところ、スイッチ気味にポジションを入れ替え、ダブルのフェイント気味のジャブからすぐさま右ストレートを繰り出した頭脳的な攻撃に対処できずダウン。
センスのあるボクシング、試合は中川ペースで進むかと思った。
しかし三浦の闘志にますます火が付く。
距離をつぶして、しつこいジャブ、フック、ボディで果敢に攻め入る。
中川、次第にジャブで距離を取れなくなる。避け勘がいいので当初は対応していたが、次第にスタミナがなくなっていくと被弾していく。センスによる避け勘ゆえ、普段のガードの低さが、ここにきて不利を招くか。
試合は三浦の距離か、接近戦になる。
序盤からタフな撃ち合い。
気持ちが折れない撃ち合いが続く。
まさに一進一退であった。
中盤、三浦が闘志で盛り返す。中川、あきらかに防戦の疲労が見えた。終盤、忘れていた足を使いだし、自分の距離を取り出す。すると中川の右ストレートも決まりだす。終盤の有効打は中川か、手数は三浦、リング支配権はどちらにあるか、判断しかねる。拮抗。互角。
どちらが勝つか、全くわからなかった。
力の拮抗は最後まで続いた。
いい試合だった。
これで負けがついたら、当事者だったら残念である。
判定の世界。
際どい。
どっちが勝ったか、負けたか、正直わからない。
どんな答えが出るか固唾をのむ。
判定一人目、76-76。
二人目、76-75中川。
三人目、75-76三浦。
三者三様のドロー。
これ以上ない判定。
納得の結果が出た。まさにドローがふさわしい互角の激闘であった。
元日本スーパーフライ級チャンピオン、戸部洋平(三迫)の引退式があった。
17戦13勝(9KO)3敗1分。
国体連覇後に鳴り物入りでプロに入り期待され活躍と、リングアナ。
三迫ジムのエースだった。
テンカウントの響きは美しい。
(敬称略)