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パリの冬空を伸びやかに旋回したシューベルトのアヴェマリア 2017.12.09.



12月6日、フランスの国民的ロックンローラー、ジョニー・アリデー(Johnny Hallyday)が肺がんにより74歳で逝去した。


9日、パリ市内のマドレーヌ教会で国葬を思わせるミサが行われた。


葬列はシャンゼリゼ通りをパレード。彼を慕う何十万という民衆が街頭、通りを埋め尽くした。フランス大統領府は「50年以上にわたり、彼は輝かしい偶像だった」と発表した。



ミサではシューベルトのアヴェマリアが歌われた。

街頭に流された歌を無心に聴き入る民衆の姿が印象的だった。



パリの空気の澄んだ冬空を、穏やかに伸びやかに、まるでとんびが輪を描きながらゆったりと飛ぶかのように、清々しく響き渡ったその光景に、私は心を奪われた。



ソプラノ歌手、ジュリー・フックス(Julie Fuchs)の声は美しかった。

心の浄化そのものだった。



シューベルトのアヴェマリア。

このような国葬というべきか、民衆葬というべきか、大規模なミサで歌われる機会は他にはないだろう。

ピアノ、イヴァン・カッサール(Yvan Cassar)、チェロ、ゴーティエ・カプソン(Gauthier Capuçon)。

スケールは大きいのだが、教会の普段通りの簡素な音楽舞台による歌声がそのまま路頭の人々の心に届いている様が、このミサをどこまでも近しいものに感じさせた。


私はジョニー・アリデーを存じなかった。

フランスではその人間味を愛されてきた人物なのだろう。


このミサは、歌を担当したジュリー・フックスが発信したSNSで知った。

分衆化され、個衆化され、また断絶された先進国の現代社会において、

「衆」の姿を久しぶりに見た。それも、大衆、群衆ともまた違う、民衆の姿。

デモ、パレード、テロ、、、そしてミサ。

パリの街頭、広場は依然として「衆」のものであると再確認させてくれた。




葬儀の模様を伝える現地の新聞記事。

https://www.theguardian.com/music/2017/dec/09/johnny-hallyday-funeral-paris-tributes-emmanuel-macron


https://fr.aleteia.org/2017/12/10/linoubliable-ave-maria-de-schubert-chante-par-julie-fuchs-pour-johnny/#.Wi1o36Cqp-p.twitter


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