〈雨水、木ノ芽〉ふきのとう収穫。梅の花に里山和む。
雨水の時季。一日の晴れ間に山の畑に足を運ぶ。
いよいよ耕作。里山の斜面に咲く梅が山に和みをもたらしていた。途中、雑穀の里の集落に寄り道をする。蕎麦挽きの水車が動いていた。水の力、水の音に春の兆しを感じる。
ふきのとうを収穫。花開く前の丁度よい時季に摘めた。鍬入れはまだ先、玉葱、らっきょう、にんにくの苗は冬を越えてくれた。さやえんどうは一本を残して枯れていた。
畑の端、南高梅の花が見頃だった。
奥の敷地の手入れがされず大木になった紅梅を借景に白い花弁が浮き立つ。
繭のようにふっくらとした木蓮の蕾が芽吹く。足下、うず重なる落葉から群れて顔を出すのは水仙の新芽。霜でふくらんだ土も歩いてみれば表面に柔らかさを感じる。固い蕾、凍てつく土も緩み始めた。
遠望すれば稜線は霞み初め。寒さ融解。啓蟄、虫が動き出すのももう少し。
ふきのとうの煮浸し、味噌汁、天婦羅。灰汁の強さが癖になる。春近しと想いながらまた来年の味覚を想う。
(了)
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